医療法人社団
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〒860-0832 熊本市中央区萩原町3−21
ペインクリニックとは、痛み(Pain:ペイン)の診療(Clinic:クリニック)を専門的に行うところです。ペインクリニックが得意とするのは薬を用いての治療(薬物療法)や針を刺して痛み止めの薬(局所麻酔薬)を注入する神経ブロック療法です。痛みには様々な原因や種類があり、それぞれの患者さんの痛みに合った治療を選択しています。
神経ブロック療法とは、痛みを引き起こしている神経や関節内に針を刺し、神経の機能を一時的に麻痺させる薬(局所麻酔薬)を注入することにより痛みを和らげる治療です。痛みの原因となっている部位で直接治療できるのが利点です。
レントゲンで骨や関節の位置を確認しながら、あるいは超音波装置で神経や血管を確認しながら行う方法もあり、より正確で安全に神経ブロックを行う工夫をしています。
痛みを感じる神経だけでなく、血液の流れを調節する交感神経をブロックすることにより痛みが起きている場所への血液の流れを増やし、神経障害の回復を促す治療もあります。
また、安全に熱を発生させることができる高周波熱凝固装置を用いることで、周囲の組織に影響を与えることなく目的とした神経のみに熱を加え、神経ブロックの効果を数ヶ月から1年前後と長く持続させる高周波熱凝固法という治療もあり、レントゲン装置や高周波熱凝固装置を使用する特殊ブロック外来を熊本大学医学部付属病院と連携して行っています。
体に針を刺す治療なので、神経ブロックは怖いという印象があるかもしれませんが、適切に行うことで、消炎鎮痛薬の使用量が減り、その副作用を軽減できたり、生活の質(QOL)を向上させたりすることができます。
ペインクリニック外来には首、肩、腰など様々な部位の痛みを持った患者さんが受診されます。次に、神経ブロック療法を中心に病気や治療法についてご紹介します。
@ 変形性頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア
首は7つの頚椎という骨で出来ています。頚椎やその間にある椎間板の変形により首や腕に痛みを引き起こす病気が変形性頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアです。首を後ろに反ったり、横に曲げたりすると痛みが出ます。このような痛みには星状神経節ブロックという首にある交感神経をブロックする方法や、腕神経叢ブロックという肩や腕の痛みを伝える神経をブロックする方法を行います。頚椎の間にある椎間関節という小さな関節に薬を注入する椎間関節ブロックも有効です。
A 肩関節周囲炎
いわゆる五十肩です。腕を上に挙げたり、手を後ろに回したりという肩の動きで痛みが出ます。先述した星状神経節ブロックや腕神経叢ブロックでも痛みが和らぎますが、肩関節内に薬を注入する方法が有効です。
@ 腰椎椎間板ヘルニア
腰は5つの腰椎という骨で出来ています。腰椎の間にある椎間板が後ろに飛び出して、脊髄を圧迫することで腰やお尻、ふくらはぎに痛みがでる病気が腰椎椎間板ヘルニアです。前かがみになると痛みが強くなります。治療としては、脊髄を包んでいる硬膜という膜の外側に局所麻酔薬を注入する硬膜外ブロックや、痛みの原因となっている神経(神経根)のブロックなどがあります。
A 腰部脊柱管狭窄症
脊髄の通り道を脊柱管といいます。腰部の脊柱管が色々な原因により全体的に狭くなっている病気が腰部脊柱管狭窄症です。歩いているとだんだんお尻や足に痛みやしびれが出てきて、腰掛けて休憩すると症状が和らぐのが特徴です。椎間板ヘルニアとは反対に、腰を後ろに反ると痛みが出ることが多いです。治療は椎間板ヘルニアと同様に硬膜外ブロックや神経根ブロックを行います。
B 腰椎椎間関節症
ぎっくり腰の10‐20%は、腰椎の間にある椎間関節の障害が原因の痛みと言われています。椎間関節内へ薬を注入することで、治療や診断をすることができます。
@ 頭痛
頭痛には様々な種類があります。よく耳にする片頭痛などは鎮痛薬による治療が中心となります。予防薬や発作時に使用するトリプタン製剤でコントロールします。肩こりがひどくなり緊張型頭痛を引き起こしている場合は、首や肩の血流を増やして筋肉をやわらげる目的で、星状神経節ブロックを行うこともあります。
A 三叉神経痛
三叉神経は顔の感覚を伝える神経です。頭の中で血管が三叉神経を圧迫すると顔に激痛が走ることがあります。これが三叉神経痛です。食事や洗顔、歯磨きなどの刺激が痛みを強くします。痛みが強いと、食事や会話をすることもできなくなります。特効薬はテグレトールRというてんかんの薬です。内服治療だけでは痛みが取れないときや、副作用のため薬を飲めない場合には三叉神経ブロックを行います。特に高周波熱凝固法が有効で、1回の治療で1年前後痛みを抑えることができます。
帯状疱疹ウイルスが皮膚の感覚を伝える神経に感染し、その神経が支配している皮膚に沿って水疱や痛みを引き起こす病気を帯状疱疹といいます。抗ウイルス薬と消炎鎮痛薬が基本的な治療ですが、鎮痛薬だけで痛みが取れない場合には神経ブロックが必要になります。硬膜外ブロックなどを行います。
帯状疱疹による水疱などの皮膚症状が改善した後にも痛みだけが残ってしまうことがあり、その痛みを帯状疱疹後神経痛と呼びます。抗うつ薬や抗てんかん薬をうまく使うことで痛みを和らげることができます。
痛みは人間にとって、身体的にも精神的にもつらい症状です。神経ブロックは全ての痛みを和らげる魔法の治療ではありませんが、痛みで悩んでいる方がいらっしゃいましたら、一度ペインクリニックにご相談ください。
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